能登高校が立地する能登町において、昭和から平成にかけて都市部への人口流出は著しいものがありました。昭和初期には40,000人を超えていた人口も現在では約17,000人まで減少しています。
そして子育て世代の流出に伴って児童生徒数も減少を続け、町内にかつて存在した県立水産高校、宇出津高校、柳田農高、水産小木分校の3高校1分校は統廃合を繰り返し、2009年(平成21年)には能登高校が町唯一の高校となりました。
輪島市、珠洲市、能登町、穴水町の2市2町で構成される奥能登全域に現存する公立高校5校の1学年の定員合計480名に対して、中学校卒業予定者は400名を下回っていおり、5年後には中学校卒業予定者も300名前後まで落ち込み、地域の高校の存続が危機的な状況を迎えています。
このまま町から高校が無くなってしまうとどうなるか。
子ども達は中学校を卒業すると他市町へ通うか下宿する選択しかなくなります。送迎や通学費用で保護者の負担は増え、生徒は長い通学時間がかかることになります。
能登高校がもたらす経済効果は21億円と算定されております。(※)
子ども達の学びの選択肢が狭まり、町外への進学を選択せざるをえない状況になると、それに伴う一家転住の増加が危惧され、人口減少が加速し、町の将来を左右する重大な課題であると受け止めています。
(※)北陸大学経済経営学部 藤岡ゼミナール・慶應義塾大学政策・メディア研究科 中島有希大特任助教の共同研究(2019年)
移住定住に力を入れる能登町ですが、高校が無いとなると移住希望者の選択肢から外れてしまうことも考えられます。
この問題に危機感を覚えた町では、行政や能登高校、各種地域団体、地域住民有志などによる「能登高校を応援する会」を2009年に発足し、高校魅力化プロジェクトが始まりました。
能登町では、町が一体となって能登高校を盛り立てていく取り組みを行うことで、人材育成やUIターンに繋げ、これからも能登高校が存続し、発展していくために町は力を注いでいきます。